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「エマニュエル」自らの快感を求める女性、人間同士が触れ合えないポストセックス社会も描く オドレイ・ディワン監督&湯山玲子対談

映画.com / 2025年1月11日 20時0分

▼主演のノエミ・メルランとセクシーな男性俳優陣たち

ディワン:エマニュエルを演じたノエミ・メルランはこの役の時に、私の欲望は途中でもう枯れ果てるんじゃないか、なんて言ってましたね(笑)。

湯山:「エマニエル夫人」のシルビア・クリステルは、色白のグラマラスな肉体で、ポルノ的で欲情させるような美しさが売りでしたけれど、ノエミ役の、ノエミ・メルランは、意志の強そうなキツめの顔立ちで、いかり肩で非グラマー。一般的には色っぽくないルックスです。敢えてのキャスティングだったのでしょうか?

ディワン:はい、私はそれまで男性目線で、こういう女性に欲情する、という先入観や作り上げられた既成概念のイメージの逆を行きたかったのです。そして、私から見れば、ノエミは十分に欲情させる女性です。例えば、フォトグラファーのヘルムート・ニュートンのヌードモデルはしっかりとしたパワフルな肉体を持つ女性が多くて、私はそこがとても魅力的だと感じます。力も持ちつつ、性的な魅力もあるという意味では、ノエミはヘルムート・ニュートンのモデルタイプだと思います。

湯山:その一方で、この作品をエロティックエンターテインメントとして見ると、私は男性陣のキャスティングが逆に当方、女性からの萌えドコロ満載なんですよ。ウィル・シャープ、ジェイミー・キャンベル・バウアーにアンソニー・ウォン、ラストにちょい役で出るチンピラ役までも、よくぞ、味のあるセクシー名俳優たちを起用してくださった、という(笑)。だからこそ、この映画が観念的にならずに魅力的なものになったと思います。

▼香港の高級ホテルが持つオリエンタリズムは、人間のファンタズムを催す装置

湯山:そしてホテルが舞台ですよね。場所が香港であり、欧米資本のリゾートホテル。とすれば、エドワード・サイードのオリエンタリズムを考えざるを得ない。西洋の人々が東洋の人々を偏った見方で捉えようとする態度のことですが、理性を象徴するのが西洋で、東洋とはその真逆の非理性、本能的なもの、快楽的なものを擁する。西洋はいつも東洋にそんなファンタジーを持っている。そういった舞台装置を利用なさいましたか?

ディワン:オリエンタリズムは自覚していましたし、最初の映画「エマニエル夫人」でもそれは存分に使われていると思います。私の作品では高級ホテルが持つオリエンタリズムが、すべての人々のファンタズムを催す場所、装置として発揮されています。

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