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福島の教訓「想定外」二度と

Japan In-depth / 2020年1月13日 19時0分

福島の教訓「想定外」二度と


園田友紀(看護師、保健師)


【まとめ】


・被災による環境変化や帰還の遅れにより、健康課題は増大する。


・被災した東北は課題先進地域であり、日本の将来像。


・福島の経験から学ばなければ「想定外」を繰り返すことに。


 


私は鹿児島県鹿児島市で生まれ育ち、ご縁あって、現在福島県いわき市で看護師として勤務している。現在、病院勤務の傍ら、福島県立医科大学公衆衛生学講座の修士課程の学生として坪倉正治医師に師事し、福島第一原子力発電事故後の健康問題を調査している。


原発事故後の健康問題に興味を持ったのは、大学時代、友人の誘いで福島県相馬市や南相馬市といった浜通りの医療機関の見学をしたことがきっかけだ。当時、相馬市に支援拠点を構えていた星槎国際高校の尾崎達也先生は、津波が押し寄せた沿岸部から災害の爪痕が色濃く残る場所、お気に入りのお団子屋など、地域の至る所を案内してくれた。



▲写真 宮城県山元町内の常磐線駅ホーム。津波で押し流され線路は跡形もなかった。(2013年8月著者撮影)


山間部に入るに連れて、次第に高くなるガイガーカウンターの放射線空間線量の数値と車窓から眺める緑溢れる美しい山々のギャップに困惑した。閑散とした町役場を目にして、この地は放射能で汚染されたのだ、と悟った。そして、もし故郷・鹿児島で原発事故が起こったとき、同様のことが起こるのか、とも。



▲写真 活動の拠点となった相馬市・星槎寮にて。医療者や教員など支援者が集まり、現場の意見交換や将来について夜通し語り合う場だった。左端より筆者、尾崎達也氏(星槎国際高校)、石井武彰医師(九州大学附属病院、相馬中央病院)、加藤繁明氏、樋口朝霞氏(北海道大学看護学生)(2013年8月撮影、所属は当時。著者提供)


大学卒業後、宮城県石巻市で保健師となった私は、乳幼児健診や赤ちゃん訪問、発達障害児支援に加え、仮設住宅住民への訪問や災害復興住宅入居者への説明会への参加、健康調査、市民向けの健康講話のコーディネートなど様々な保健活動に従事した。また幸いなことに、被災者支援を行う団体や医療従事者の友人も増え、そこから地元の方を紹介していただき、公私ともに石巻について知る機会が増えた。



▲写真 休日、大学時代の先輩らとともに、ボランティアで気仙沼の仮設住宅にて健康相談を行った。左端が筆者。(2015年4月撮影。著者提供)


「買い物以外は外に出歩いたり、人と喋ることもないね。前いたところは友達も多くてお茶っこしていたけど、引っ越してからは全然知り合いもいないから」


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