ISISが食品への毒物混入テロを指示
ニューズウィーク日本版 / 2017年9月8日 15時0分
<銃撃やトラック暴走などショッキングなテロを呼びかけてきたISISが、新たに隠れたテロ手法を指示した>
テロ組織ISIS(自称イスラム国)とそれに感化されたジハーディスト(聖戦主義者)たちは、これまで欧米に対する攻撃の手法として「衝撃と畏怖」を用いてきた。ナイフやライフル、またはトラックを武器として使うショッキングな攻撃だ。
しかし今、彼らは毒物という隠れた武器を使うよう指示している。標的は、欧米の食料品店だ。
アメリカに拠点を置くテロ活動の監視機関「SITEインテリジェンス」の報告書によると、「欧米での一匹狼(ローンウルフ)型のテロを呼び掛ける英文メッセージの中で、店頭で販売されている食品に青酸化合物を注入するようアドバイスしている」という。
暗号メッセージアプリ「テレグラム」は、ツイッターなど他のアプリに比べて機密性が高く投稿が削除されにくいため、テロリストの通信手段としてよく使われている。テレグラムの専門チャンネルに投稿されたISIS支持者の画像メッセージには「一番の方法:毒物」と書かれている。
【参考記事】ISISがバチカンを襲うのは時間の問題だ
毒物を使ったテロの手法は、何年も前からISIS支持者の間で拡散されていたが、実際に使われたことはこれまでなかった。2015年10月には「ユダヤ人を殺す6つの方法」というガイドが拡散された。そこでは「(ナイフで)刺す、燃やす、毒殺する」といった手法が示されている。
またISISの支援グループは、自宅で毒を作るガイドブックを公開している。
毒物テロが実行されたことはまだないが、未遂に終わったケースはアメリカで1件ある。サンフランシスコ出身で、イエメンで生活していたことがある22歳の男、アメル・シナン・アルハッガギが米捜査当局に拘束されている。ISISのために新型テロをベイエリアで実行しようとした容疑だ。
昨年12月の法廷審問で、この男が麻薬に殺鼠剤を混ぜて、ベイエリア周辺のナイトクラブでばらまくという計画の詳細が明らかになった。米ABCニュースによるとこの男は、アンダーカバー(覆面)捜査員に対して、毒性の高い殺鼠剤ストリキニーネとコカインの混合方法をたずねていた。
また今年7月の報道によれば、シドニー発アブダビ行きの旅客機を墜落させようとしたとして拘束された容疑者が、ISISの指示を受けて、機内で毒ガスを撒いて乗客や乗員を動けなくすることを計画していたことがわかった。
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