4倍速で成果を生み出す「3カ月思考」
プレジデントオンライン / 2019年3月6日 15時15分
※本稿は、髙橋恭介『4倍速で成果を出すチームリーダーの仕事術』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
■「速さ」がワクワク感を生む
私のチームマネジメントの特徴を一言で表すならば、「4倍速」ということになります。それだけ私はスピードというものを重視してきました。
ですから、あしたのチームの時間軸は、通常の4倍速に設定されています。このため、社員の意識も成長スピードも4倍速です。
だからといって、社員が疲弊しているかと言えば、そんなことはまったくありません。みんな楽しそうに日々仕事をしてくれています。私どものオフィスに来てくださった方からは決まって、「みなさん活気に満ちあふれていますね」と言っていただけます。
私は、スピードには人間を魅了する何かがあると思っています。スポーツの世界では、誰もが1分1秒、いえ0.001秒でも速く走ったり、泳いだりすることをめざしています。新幹線が生まれたのも、リニア新幹線が生まれるのも、スピードへの憧れがあるからではないでしょうか。
■元のスピードには二度と戻れない
ビジネスにおいても、同じことが言えます。
いつもより早くオフィスに行き、静かな環境で集中して仕事をしたとき、「夜の残業時なら通常1時間かかるような仕事が、朝だと半分の30分で終わった」というような経験はありませんか。もしあれば、こう思ったはずです。
「いつも、これくらいのスピード感で仕事ができたら楽しいのに」
4倍速の仕事術も、一度経験したら、その楽しさが忘れられなくなります。また、一度4倍速の仕事・成長スピードに慣れてしまうと、もう楽しくて元のスピードには戻れなくなります。
ベンチャーでバリバリ活躍した人は、そのスピード感あふれる仕事の楽しさを知ってしまったがゆえに、スピードの遅い大企業に入ると強いストレスを感じると言います。
インターネットにしても、光通信などの高速通信が当たり前になり、それに慣れてしまったら、もう昔の遅い通信環境に戻ることはできないでしょう。それと同じです。
想像してみてください。4倍速で仕事ができている自分を。4倍速で成長しているメンバーを。4倍速で成果を出しているチームを。
いかがでしょう。ワクワクしてきたのではないでしょうか。4倍速というスピードは、チームリーダーとしての仕事をこれまでになく楽しいものにしてくれます。だから、チームリーダーには、ぜひとも4倍速をめざしてほしいのです。
■「四半期=1年」と考える
ここまで読んで、「本当に4倍速なんかで仕事ができるのか」と疑っている人もいるかもしれません。そこで、私たち、あしたのチームが実践していることを紹介しましょう。
まず、「四半期」をワンセット、もっと言うと、「四半期=1年」と考えます。これが、私がこれまで一番大事にしてきた考え方です。
そしてこの考え方に基づき、通常1年で行うことの多くを「四半期(3カ月)」で行っています。
たとえば、「同期社員」の考え方も、大半の会社では「○○年入社」といったように年単位ですが、あしたのチームでは四半期単位です。2018年4月~6月に入社した社員は「第40期」と呼ばれています。創業は2008年なので、普通の会社であれば「第10期」なのですが、1年で4期進むので「第40期」なのです。
こうすると、入社3カ月後には誰もが先輩になり、後輩を指導する立場になります。「自分たちは4倍速で進化し、成長している」ということを社員一人ひとりに意識してもらうために、同期も四半期ごとにしているのです。
■四半期20%アップで前年比2倍以上の成果が出る
あしたのチームは前年比2倍(200%成長)ペースの売上を実現してきました。
実はこれも、「四半期=1年」と考えてきたから実現できたことです。どういうことか、説明しましょう。
1年で売上2倍を実現するために、私たちは「四半期ごとに20%アップする」ことを目標としてきました。
前年の最後の四半期の売上を100とします。第1四半期は100×1.2=120となります。第2四半期は120×1.2=144、第3四半期は144×1.2=172.8、第4四半期は172.8×1.2=207.36となり、100だった売上は1年後に2倍以上になります。
これが、売上が1年で2倍増になった仕組みであり、「四半期=1年」と考えて4倍速で進んできた結果です。ちょっとした数字のマジックのように感じるかもしれませんが、「1年で2倍」よりも「四半期ごとに20%アップ」のほうが実現できそうという気がしてきませんか。
■採用の最終面接も15分
四半期(=3カ月)を1年と考えると、1週間が1カ月(≒4週間)になります。また、1日がおよそ1週間(=営業日5日)となります。
さらに言えば、1時間を4倍速で考えれば、15分が1時間(=60分)になります。ですから私は、様々な業務に関しても1時間単位ではなく15分単位で考えるようにしています。
たとえば、私自身が行う採用の最終面接は15分と決まっています。見るべきポイントが明確になっているため、15分あれば、その人が当社に適しているかどうかを判断することができるのです。
このように四半期を1年と考えると、1カ月、1週間、1日、1時間、1分の密度がはるかに濃くなるのです。
■3カ月を前半・中盤・後半に分ける
また、四半期は3カ月ですから、前半・中盤・後半に分けることもできます。1カ月目に結果が出なくても、とにかく耕す時期、仕込みをする時期だと考え、2カ月目に芽が出始め、3カ月目に刈り取るということができます。つまり、四半期(3カ月)であれば中期的な取り組みを行うことができ、取り組めることの幅が大きく広がるのです。
あしたのチームがクライアントに提供している人事評価制度サービスも、四半期に一度、評価を行うサイクルを回すことで、社員の成長スピードを上げるように設計されています。
もし、四半期より短い1カ月の評価サイクルだと、種まきをして芽が出るのを待っているような余裕はなく、すぐに刈り取りに行かなくてはなりません。いきおい社員の行動も行き当たりばったりの出たとこ勝負になっていきます。評価サイクルを、あまりに短期にしてしまうと、運任せの刹那的な結果を評価する仕組みになってしまうのです。
では逆に、半年や1年での評価サイクルはどうかと言えば、それは多くの企業が実行しているサイクルなので、スピードアップにはつながりません。やはり、他社よりも早く成果を出し、成長するためには、四半期、3カ月をワンサイクルと考えるのがベストであり、最高のマネジメントサイクルなのではないかと私は考えています。
■「当たり前のレベル」を上げる
あしたのチームには、「当たり前のレベルを上げる」という言葉があります。部署や職種にかかわらず、チームリーダーの口グセでもあります。
これに関しても、四半期ごとにレベルを上げることが目標になります。先述したように、四半期ごとに20%レベルを上げていくことができれば、1.2×1.2×1.2×1.2=2.0736となり、1年後には約2倍のレベルの仕事ができるようになります。
1年前には「とうてい無理だな」と思っていたことが、1年後にはもはや何のストレスもなく当たり前にできるようになる。これが、「当たり前のレベルを上げる」ということです。
たとえば、チームリーダーであれば、自分がそれまでやっていた業務をメンバーに渡し、その一方でよりレベルの高い上司の業務をキャッチしにいきます。その業務ができるようになったら、またメンバーに渡して上司の業務をキャッチしにいきます。こうすることで、リーダーもメンバーも担当する業務のレベルが上がっていくのです。
こういったことを、四半期をワンサイクルとして高速で繰り返していけば、1年間でワンサイクルを回している企業の4倍速で成長することが可能となります。
(株式会社あしたのチーム代表取締役会長/一般社団法人スマートワーク推進機構 代表理事 髙橋 恭介 写真=iStock.com)
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