「もうトラックは降りる」運転手たちが語る辛さ 「2024年問題」対策への現場の強烈な違和感
東洋経済オンライン / 2024年2月29日 13時0分
「2024年問題」が議論され始めた当初から、つねにある違和感と対峙してきた。それは、「現場が求めている声」と「国が打ち出す政策」の間にある“ズレ”だ。
【アンケート結果】トラックドライバーは副業をどう考えている?
「働き方改革関連法」は2019年、他業種のほとんどですでに施行されたが、トラックドライバーをはじめとする職業ドライバーは「長時間労働の是正に時間がかかる」という理由から施行が5年間猶予されていた。その期限が2024年4月1日。運送事業者やトラックドライバーたちは、その対応に追われてきた。
国の対策は「改革」どころか「改悪」
運送業界に従事しているトラックドライバーは約86万人。一般貨物自動車運送事業者の99%以上が中小零細企業で、10台以下で営業している運送事業者が2万9751社と最も多い。
今回の「働き方改革」では、本来こうした立場が弱く、かつ管理が行き届きにくい小規模の運送事業者やトラックドライバーたちの労働環境を変える必要がある。が、現在国が進めている対策では、改革どころか「改悪」だと感じる案も少なくなく、彼らの目線で取材していると、国も荷主も消費者も、みな「荷物」の心配ばかりしていて肝心のドライバーたちの「働き方」を考えているようには思えないのだ。
なかでも早急に対応しなければ、ドライバーの環境はもちろん、結果的に物流業界もが崩壊すると危惧しているのは、「運賃・賃金の保証」だ。
2024年問題が取りざたされて以降、筆者のもとには「施行後トラックを降りる」という報告や相談が120件ほど寄せられている。歩合制で働くトラックドライバーにとっては、労働時間が減れば賃金がダイレクトに下がるからだ。
今後の体力を考えて同じ運転業のタクシードライバーなどへの転職を検討する50~60代のドライバーの声が多いなか、「別業種に転職する最後のチャンスかもしれない」と思いあぐねる働き盛りの40代の声もある。
副業を検討し始めているドライバーも
さらに顕著なのが、トラックドライバーは辞めずとも「副業」を前向きに検討している人の多さである。
先日SNSで簡易アンケートを取ったところ、約60%のトラックドライバーが副業をポジティブに考えていると回答。すでに副業をしていると回答した人に業務内容を聞いたところ、運転代行業や倉庫での荷物の仕分け作業、さらにはウーバーイーツという声も聞こえてきた。
無論、他業種でも副業をしている・検討している人は少なくない。他のフィールドでの副業が本業にとっていい刺激になることもある。
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