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台湾の日系自動車向け部品会社で強制労働の疑惑 トヨタ、日産、ホンダ、三菱はどう答えるのか

東洋経済オンライン / 2024年3月4日 7時30分

労働条件の改善を求めて台湾・台北でデモ行進をするアジア諸国の出稼ぎ労働者(写真:picture alliance/アフロ)

日本の自動車メーカーが、台湾での人権侵害リスクに直面している。ベトナムやフィリピン、インドネシアなどの出稼ぎ労働者を現地の子会社やパートナー企業が雇用。その際に、労働者が本国のブローカーなどに多額の借金をする事例が後を絶たず、人権問題として持ち上がっている。グローバルサプライチェーンの問題に精通する筆者は調査チームを組織し、台湾での問題の実態解明に取り組んできた。

「この工場での仕事のために、借金をしてベトナムの紹介業者に大金を支払いました。 借金がなくなるまで、私はほぼ1年間働きました。仲間のうち数人はまだ借金を抱えています」。ベトナム人労働者のトゥアンさんは私たち調査チームにこう語った。

【写真】大手日系自動車メーカーはどう答える

「仕事の紹介料を払うための借金で、家や土地を抵当に入れなければならなかった人もいます」と話したうえで、トゥアンさんは続けてこう言った。「故郷では到底不可能な収入を得るために家族を残してきました。家族の元に戻るには、長い間一生懸命働かなければいけません」。トゥアンさんの実名は、安全上の理由から伏せることにする。

日本でも技能実習生として働く出稼ぎ労働者と話せば、このような証言は珍しいものではない。

日本で実習生になるために、紹介業者への高い手数料を工面しようとして高額の借金を負う人が多数いることは広く報じられている。全員ではないものの、技能実習生の一部は過酷な状況に耐えることを強いられている。

他方、ベトナムを発ったトゥアンさんがやってきたのは、日本ではなく台湾だった。

日本と同じく、1990年代には台湾も、外国人に向けて労働市場を徐々に開放した。しかし日本とは異なり、技能の低い外国人は技能実習生としてではなく正規労働者として台湾にやってくる。彼らは、現地の労働者と同じ労働規制の対象となる。現在、日本では約40万人の出稼ぎ労働者(技能実習生)が働いている。一方、台湾では約70万人の出稼ぎ労働者が雇用されている。

台湾での強制労働リスク

トゥアンさんは、台湾の中心都市・台北周辺の工業地帯で働くためにベトナムの田舎からやってきた。彼の職場は自動車部品メーカーの六和機械(Lioho Machine Works:LMW)で、彼のほかにもベトナム、インドネシア、フィリピンからの数百人の出稼ぎ労働者が雇用されている。私たち調査チームは、それら3つの国すべての労働者に話を聞いた。その人数は10人以上に及んだ。

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