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部下を抱え込んで離さない上司の遅すぎる後悔 春の人事異動「優秀な社員」に待ち受ける不運

東洋経済オンライン / 2024年3月27日 12時0分

人事異動の舞台裏と人事担当ならではの苦悩を明かします(写真:タカス / PIXTA)

新卒・中途採用で繰り広げられる優秀人材の争奪戦に、パズルゲームのような組織の人事異動、セクハラ・パワハラを引き起こす問題社員への対処……。人事担当は社内の人にすら言えない秘密を抱えながら、組織をより良くするための“黒子”として暗躍しています。

そんな人事の裏側を、人事エキスパートとして大手・ベンチャー、日系・外資などさまざまな規模や業種の会社で20年以上奔走してきた、萬屋たくみ(現役の人事部長)氏がリアルな実体験をもとにひもといていく本連載。

第1回目は、人事担当がどのように会社の人事異動を行っているのか、その舞台裏と人事ならでは、の苦悩を明かします。

社内がザワつく、春の人事異動発令

桜花爛漫の4月初旬――。人事にとっても、入社式に新人研修、人事異動発令、次年度の新卒採用……と、年間で最も業務が花盛りになるのもこの時期である。

【画像で確認】人事部の考える「最重要セクション」とは?

なかでも人事異動発令は、社内がザワつく。とんだサプライズ人事があった年には、全社が驚きの大波で揺れることもある。

それほど人事異動は、社員の注目の的であり、だからこそ人事は、慎重かつ秘密裏にコトを進めなければならない。

かつて私が働いていた大手メーカーでは、従業員数が万単位と規模も大きく、一つの部門だけでも1000人以上の社員が在籍していた。拠点も国内外に点在していたため、到底「本社人事部」だけでは全社員の状況を把握できない。

そのため、各部門に人事部が置かれ、その「部門人事」が採用から評価・異動、教育など部門内の人事業務を一手に引き受けていた。

私自身も、とある部門人事部に在籍していたが、そこでは4月1日付の人事異動に向けて、5カ月前の11月から水面下で動き始めていた。なぜ、早めに動くのかというと、人事異動ほど、人事担当と関係部署との間で揉めることはないからだ。

毎年、葉が色づく11月になると、「ああ、またこの季節が来たか」と、筆者の心はブルーに染まるのだった。

人事のひそかな「プライオリティ」

そもそも人事異動の計画は、各部署の事業計画や要員計画(必要な能力や人員の数)をもとに、どういう社員をどのぐらいの人数、配置させるのか、社員個々の希望や適性、人事評価、キャリアプログラムなどを考慮しながら、練っていく。

ただ、異動計画を練るとはいえ、やみくもに取りかかっていては、いつまでたっても決まらない。私が所属していた部門だけでも、15もの部署があった。それゆえ、人事サイドは、着手する「プライオリティ」をひそかに持っていた。

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