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老舗酒造メーカーが「ストロング系」に込めた思い コスパのよさが「心の拠り所」となる人もいる

東洋経済オンライン / 2024年3月10日 7時20分

オエノンHDの西永裕司社長は「消費者が望む商品を提供するのが務め」と語る(撮影:ヒダキトモコ)

「1日当たり20グラム以上の純アルコール量の飲酒を続けると、大腸がんの発症リスクが上がる」

厚生労働省は2月19日、「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表した。お酒に含まれる「純アルコール量」への着目が重要とし、1日当たりの飲酒量とそれに伴う疾患別の発症リスクを例示した。

同指針の発表に先駆け、適正飲酒を推進する観点からアサヒビールやサッポロビールは度数8%以上の、いわゆる「ストロング系」チューハイについて新商品を発売しない方針を発表。キリンビールも販売の是非を検討する考えを示している。度数9%の場合、350ミリリットル缶でアルコールを25.2グラム摂取する計算となる。

こうした大手ビールメーカーの対応について、中堅酒類メーカーはどう見ているのか。オエノンホールディングス(HD)は、1880年に浅草で開業した「みかはや銘酒店」(現在の「神谷バー」)や、民間初のアルコール製造を開始した日本酒精製造にルーツを持つ老舗だ。旗艦商品の焼酎や日本酒に加え、近年は缶チューハイにも力を入れる。ストロング系をめぐる状況について、西永裕司社長に考えを聞いた。

チューハイだけがやり玉に挙がっている

──厚労省の飲酒に関するガイドラインや、ストロング系の新商品開発をやめる大手ビール会社の方針について、どう捉えていますか。

【ストロング系は縮小傾向】度数5~7%のチューハイが販売を伸ばしている

基本的には、消費者が望む商品を提供するのがメーカーの務め。しかし厚労省からガイドラインが出された以上、企業の社会的責任として、当社も自社ブランド商品では8%以上のチューハイを今後発売しないこと、現在販売している9%のチューハイは7%以下にしていくことを早急に検討している。

業界ではチューハイだけがやり玉に挙がっているが、当社にはウイスキーハイボールにも9%の商品があり、7%商品への移行を検討している。ただ当社のチューハイ事業はPBの比率が高く、ここはオーナーの意向に沿った形で進めていく。

──ストロング系の市場が拡大したのはなぜでしょうか。

物価高が続き、節約志向が高まる中で、ストロング系は経済性豊かな商品という理由が非常に大きい。特にリーズナブルでコストパフォーマンスのよいものを飲む層に、ストロング系はよく飲まれている。

足元の需要はピークアウトし、年々縮小傾向にある。若年層のアルコール離れもあるし、これまで9%のチューハイを飲んでいた層が高齢化し、消費者が減ってきた。健康志向というよりも、9%まで必要なく7%でちょうどよいという理由からだろう。

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