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「唯一無二の量産型」という矛盾を内包する若者 リスクを負わず自分を差別化したい若者の生存戦略

東洋経済オンライン / 2024年3月17日 14時0分

今の若者は、「量産型」兼「唯一無二の存在」という矛盾する2つの概念を組み合わせて生きている(写真:マハロ/PIXTA)

「人材としての質的向上」を求められる一方で、「自身の経験や体験のオリジナリティ」を重視される。令和の職場の若者は、そんな高難易度なことをさせられている。本稿は、若者研究の第一人者である金沢大学教授の金間大介氏の著書『静かに退職する若者たち』を一部抜粋・再構成のうえ、そうしたムリゲーを乗り切るための、若者の戦略をお伝えする。 

正解を求める若者が恐れているもの

多くの大学生は3年生になると、ゼミや研究室に属し、調査や実験、グループワークなどを経て卒業論文を執筆することになる。ゼミはいわば、大学生活後半の居場所の1つのようなものだ。そしてそのゼミの担当教員が、いわゆる生涯の恩師となる。教員の中には、民間企業との付き合いを活発に行う人もいて、最近では共同研究を実施している研究室も増えている。

【図を見る】「大勢の前でほめられたいですか」という問いに対する回答結果

企業からすれば、教授ないしは准教授の下で協力してくれる学生はそれなりに貴重な戦力となる。よって大学へ足を運ぶ際には、手土産を持参するケースも少なくない。

さて、ここからが本題だ。

あるゼミ室に、共同研究を実施している企業のMさんが顔を出し、「こんにちはー。これお土産です。よかったら皆さんで」と、紙袋を持ち上げて見せてくれたとしよう。

はい、ここで問題。次の瞬間、何が起こるだろうか? せっかくなので選択肢を用意した。

①「わー、ありがとうございます!」と言って、Mさん(というよりその手土産)にゼミ生が群がる
②ゼミ生の1人が「あ、わざわざすみません。ありがとうございます」と言って、手土産を受け取る
③全員固まる。つまり、ほぼノーリアクション。正確には、本当にリアクションがない人半分と、同級生の方を見たりする人半分

さて、あなたのイメージはどれに近いだろうか?

①をイメージしたあなたは、おそらく社会人の中ではベテラン勢かもしれない。

「若者といえば」というイメージをストレートに反映したのが①になる。

②はいかにも「普通」という感じの状況か。

③は、何というか、ちょっと失礼だ。いや、だいぶ失礼だ。

それでは、今の大学生にとって、最も起こりやすいのはどれか?

答えは③だ。この無礼千万極まりない状況を、実際に僕は何度も目の当たりにしてきた。逆に、手土産を持参した人がよっぽど仲のいい人でない限り、①の状況は発生しない。

なぜ③なのか。

リスクを負わず穏便に済ませたい

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