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「この木なんの木」と深い縁、ポール与那嶺の半生 ポール与那嶺さんにインタビュー(前編)

東洋経済オンライン / 2024年3月28日 11時0分

ポール与那嶺さん(写真:筆者撮影)

日系人のために設立されたハワイの銀行「セントラル パシフィック バンク」名誉会長のほか、三井住友銀行、セブン&アイ・ホールディングスなどの社外取締役を務めるポール与那嶺氏は、東京で生まれ育ったハワイ在住の日系3世。日本語と英語を流暢に操り、40年以上にわたりアメリカ・日本で経営とコンサルの実践経験を蓄えながら、国際的な視野から日系企業のグローバル化を後押ししてきた。

ハワイ州知事特別顧問としての役目も加わり、現在、ハワイのインフラ開発に日本企業が培った知見と技術を取り込むべく、日本とハワイを往復する日々を送る。

独自の経営理念の基礎をつくった自身のルーツを振り返るとともに、米日間のビジネス連携の具体策や、日本経済の今とこれからをどう見通すのか、ポール与那嶺氏に聞いた。前編・後編でお届けする(前後編の前編)。

「この木なんの木」を守った

―――ハワイと日本の架け橋をなさるポールさんといえば、日立のテレビCMでお馴染みのホノルルにある「この木なんの木」の木と大変深い関わりがあります。まずは、ぜひそのエピソードをお聞かせください。

【写真】ポール与那嶺氏は、日立のCMで有名な、ホノルルの公園にあるモンキーポッドとも縁が深い。

ホノルルの公園(モアナルア・ガーデン)にあるモンキーポッドという木ですね。その公園は子供の頃、ハワイを訪れるたびに親とよくピクニックをして遊んだ、私にとっても思い出のある場所です。

日立製作所がそれを「日立の樹」として1970年代から会社のシンボルに使っていました。2006年に持ち主が公園を売却するという話が出て、不安に思った日立から、KPMG(コンサルタント会社)時代の顧客だった縁で私に連絡がありましてね。コーポレートイメージで使う木を守りたい、公園を残す方法はないかという相談を受けました。

そこで私が信託会社と話をして、最終的には持ち主が売却をやめて、日立が維持管理費を出しながら、公園を残すという結果になりました。

相手は当初、日立という社名も知らなければ、この木が日本の人にとって親しみのある、意味のある木だということも知らず、驚いていました。でも私の友人でもある信託会社の理事長が協力し、理事会に日立の概要や思いを熱く説明してくださって実現することができたのです。

幸運にも、いまだに日立が維持費を出し続けて公園が守られています。ホノルル市民にとっても本当にいい結果になりました。

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