希代の起業家を成功に導いた、正しい「失敗」の仕方 2つのユニコーンを生み出したユリ・レヴィーンに学ぶ
東洋経済オンライン / 2024年3月29日 10時0分
2つのユニコーン(創業10年未満、評価額10億ドル以上の未上場企業)を生み出し、グーグルに11.5億ドル、インテルに10億ドルでイグジットしたユリ・レヴィーン氏。希代の起業家が提唱するスタートアップの基本的な考え方は「問題に恋する」ことだと言います。これまでの経験や思考の軌跡をもとに、レヴィーン氏が新しいアイデアを実現するために必要なことを解説します。
※本稿はレヴィーン氏の新著『Love the Problem 問題に恋をしよう ユニコーン起業家の思考法』から一部抜粋・再構成しています。
スタートアップに必要なのは「完璧」ではない
失敗の旅には、どのくらいの時間をかけるべきか。答えは、「何年も」だ。やり方がまずいわけではない。
スタートアップの成功には、運と正しい実験という2つの要素が関連するからだ。
もちろん、最初の挑戦でうまくいけば、もっと早く動ける。運はいつでも助けてくれる。
フランスの哲学者ヴォルテールはかつて、「完璧は善の敵」と言った。スタートアップの世界に向けて少し言い換えるなら、「完璧は『必要十分』の敵」だ。「必要十分」は、市場で勝つには十分なことが多い。
必要十分な商品が市場にあると想像してみよう。
プロダクトは実際に使われ、顧客は戻ってくる。さて、あなたがそれよりもよいプロダクト、つまり完璧なプロダクトを作っているとしよう。
一番の課題は、乗り換えてもらうことだ。今使っているものが十分なら、ほとんどの人は乗り換えない。
俊敏性(アジリティ)は、社内の誰もが持つべきマインドセットだ。研究開発やプロダクト開発チームだけに限らない。
常に新たなことに挑戦し、それと同時に、失敗に備えることが必要だ。それは個人にも企業にも言える。起業家として最も重要な心構えは、非常にシンプルだ。つまり、「これを試してみて、うまくいくか様子をみよう」である。
なぜイスラエルは人口あたりの起業家数が多いのか?
失敗への恐怖は文化的なものでもある。失敗が許容されない国では、国民1人あたりの起業家数がほかの国より少ない。
例えば、失敗が許されるイスラエルでは、国民約1400人に対して1社のスタートアップがあるが、ヨーロッパでは2万人に1社だ。シリコンバレーも失敗への恐怖が小さく、人口あたりの起業家数が多い。
失敗への恐怖が大きな文化では、すすんで挑戦する人が少ない。だが、失敗への恐怖が小さな文化では、すすんで挑戦する人の数が増える。
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