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半年で打ち切りの74年『宇宙戦艦ヤマト』 強すぎた「裏番組」や「逆転劇」とは

マグミクス / 2023年10月15日 7時10分

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■初の中高生向けSFアニメで期待されたものの、結果は打ち切りに

 1974年に日本テレビ系列で放送されたSFTVアニメ『宇宙戦艦ヤマト』は、大ヒットが期待されましたが、いざ放送されると低視聴率に苦しみ、半年で打ち切られてしまいます。その裏番組では、高畑勲さんと宮崎駿さんが手がけた『アルプスの少女ハイジ』(フジテレビ系)が大人気でした。今回は放送当時の『宇宙戦艦ヤマト』の強力なライバルと、その後の逆転劇についてご紹介します。

『宇宙戦艦ヤマト』はそれまで親子で見ることを目的にされたアニメとは、一線を画していました。今までのアニメの定型を打ち破るエポックメイキング的な作品でしたが、当時は時代的に需要が少なかったようです。

 同作の総設定デザインを担当した松本零士先生も自身の著書『未来創造 夢の発想法』で「『宇宙戦艦ヤマト』の第1シリーズは、放映し始めた最初の頃、視聴率がなかなか上がらなかった。宇宙を舞台にした本格的なSF設定や、アニメでありながら人間ドラマを重視した展開になじみが薄かったためだろう。結局、51話の予定が26話で打ち切りが決定してしまい、(後略)」と語っています。

 さらに追い打ちをかけたのは、日曜日の7時30分という放送時間帯でした。フジテレビの裏番組は、カルピスまんが劇場の『アルプスの少女ハイジ』で、演出に高畑勲さん、場面設定・場面構成に宮崎駿さんと、その後スタジオジブリで数々の名作を残す2大巨匠が手がけており、最高視聴率26.9%を記録するなど圧倒的な人気を誇っていました。

 加えてTBSでは、円谷プロが製作した日本版『猿の惑星』ともいえる『猿の軍団』も放送されて、こちらも話題になっています。そんな強力なライバルたちに押されて、あえなく打ち切りになってしまったようです。

 前述の『未来創造 夢の発想法』によると、松本先生はマンガ連載もいつ打ち切られてもいいように、連続する物語でありながら1話完結形式で物語を作っていたため、少しも慌てずに最終回を迎えたと語っています。

 TVアニメ『宇宙戦艦ヤマト』は打ち切りになりましたが、脚本を担当した藤川桂介さんは自身の著作である『アニメ・特撮ヒーロー誕生のとき―ウルトラマン、宇宙戦艦ヤマトから六神合体ゴッドマーズまで』(文春ネスコ)で、著書内のN氏(プロデューサーの西崎義展さんと思われる)に「時間がたつと、きっと見直されると思います」と、慰めたと語っています。

 そして、藤川さんはアニメを再編集して総集編を上映することを提案しました。視聴者のなかには「ハイジを見てしまったけど、本当はヤマトを見たかった」という人も多いのではないかと思ったからだそうです。

 そして、TVアニメの総集編である1977年の劇場版の『宇宙戦艦ヤマト』は、大ヒットを記録します。さらに、1978年の劇場版第2弾『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』、同年のTVシリーズ第2弾『宇宙戦艦ヤマト2』も人気を博しました。1979年『機動戦士ガンダム』や、1995年『新世紀エヴァンゲリオン』といった、TVアニメシリーズから劇場版が作られる流れの先駆けとなったのです。

『ハイジ』を手がけた高畑監督や宮崎監督らが、1985年にスタジオジブリを設立して次々と傑作アニメ映画を生み出すのは少し先のことでした。

(本文の一部を修正しました。 2023.10.16 08:40)

(LUIS FIELD)

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