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アメリカ人と日本人の「健康の常識」は違う…医師・和田秀樹が「コレステロール値を気にするな」と訴える理由

プレジデントオンライン / 2023年9月1日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/yukimco

コレステロール値はどのようにコントロールするべきなのか。医師の和田秀樹さんは「アメリカ人の場合は、心筋梗塞で亡くなる人が多いので、コレステロール値を減らしたほうがいい。しかし、コレステロール値を低くするのは心筋梗塞の予防のためだから、日本人はそれほど気にする必要はない」という――。

※本稿は、和田秀樹『70代、80代を楽しむためにこれだけは知っておこう!』(かや書房)の一部を再編集したものです。

■イチローが食べていた「朝カレー」

大リーグでも活躍したイチロー選手が、毎朝、カレーを食べているとニュースで広まり、「朝カレー」がブームになったことがありました。

カレーは食べやすいですし、脳のためにはベストと言ってもいい朝食になります。

第1の理由として、ごはんは炭水化物で、夜から朝にかけてエネルギーが足りなくなった脳にたっぷり力を与えてくれます。

第2に、カレーのスパイスが脳の目覚めを刺激します。

■「豚肉入りカレー」が脳にいい

さらに、豚肉が入っているカレーなら、さらに良いでしょう。豚肉はビタミンB1の宝庫で、タンパク質。体内で合成されないトリプトファンなどの必須アミノ酸もとれますから、脳の働きには非常に効果的です。

だから、スパイスが入っていて、豚肉がとれて、炭水化物も一緒にとれるという意味で、豚肉入りのカレーは大変に賢明な選択です。レトルトのカレーでも十分です。

ほか、朝食には鮭おにぎりなどもおすすめです。魚にもタンパク質が豊富に含まれています。

■「夕食がご馳走で、昼は粗食」はダメ

昼食には、肉や魚を食べるのがベストです。

日本人の多くは、夕食がご馳走で、昼は粗食になる人が多いと思います。しかし、実は人間の肝臓の働きが良いのは朝から昼なのです。

肝臓の働きがいいというのは、食べた肉や魚がきちんとアミノ酸に分解されるということです。

肝臓の働きが悪いと、せっかく食べても肉や臓器の材料になってくれません。

だから、肉や魚など、アミノ酸に分解される食品はお昼にとるのがおすすめです。

その分、夜は簡単な食事で済ませてもいいでしょう。

■「夜の炭水化物不足」脳の働きに悪影響

ただし、朝食まで間が空きますので、夜は炭水化物をとるように心がけましょう。

日本人はお酒を飲むと、つまみだけ食べて、炭水化物をとらない人が多い傾向にあります。

しかし、ごはんでもうどんでもいいので、〆の食事は必ずとるべきです。

うどん
写真=iStock.com/whitewish
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/whitewish

夜の炭水化物不足は、脳の働きに悪影響を及ぼすからです。

夜は寝ているだけだから脳は働いていないと考えるかもしれませんが、特に「記憶」に関しては、脳が一番活動しているのは実は寝ている間なのです。

そのため、夜にも炭水化物が必要ですし、さらにビタミンが多いほうがいいので、可能であればビタミンB1が大量に含まれている豚肉や納豆を夜食べるのがおすすめです。

■日本人はコレステロール値を減らさなくていい

アメリカでは心筋梗塞で亡くなる人が、がんで亡くなる人と同じくらいいます。

逆に日本では、心筋梗塞で亡くなる人は、がんで亡くなる人の12分の1程度です(心疾患全体でも半分程度)。

アメリカ人の場合は、心筋梗塞で亡くなる人が多いので、コレステロール値を減らしたほうがいいと思います。

しかし、コレステロール値を低くしようというのは、心筋梗塞の予防のためですから、日本人はそれほど気にする必要はないのです。

■コレステロール値が低いほどがんになりやすい

アメリカ人は1日の平均で約300グラムの肉を摂取すると言われています。ところが日本人は約100グラムしか食べていません。

背景にアメリカ合衆国の国旗に対してラガーのパイントと佐世保バーガー
写真=iStock.com/kuremo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kuremo

沖縄県の人々が1日にそれ以上の肉を摂取し、長寿であることを考えると、日本人は肉をもっと食べたほうがいいのではないか、というのが私の考えです。

コレステロール値を減らすと身体の免疫機能が落ちるので、がんを発症しやすくなってしまいます。

実際、コレステロール値が低いほどがんになりやすいというデータもあります。

日本人はがんの死亡率が高いわけですから、コレステロール値は少し高めのほうがよく、むしろ低いほうが問題だと私は考えています。

コレステロール値を下げると、男性ホルモンも減り、セロトニンも減少しますので、うつ病など心の病にもかかりやすくなります。

医療常識に縛られず、自分に合った効果的な食事法を見つけることが、70代・80代を楽しむために必要です。

■40歳から始まる「前頭葉の老化」

脳というのは刺激を与えることで活性化し、老化も防げます。

頭を使うほど脳は活性化し、認知機能の向上にもつながるのです。

前頭葉は40歳ぐらいから衰えていくと言われています。

前頭葉は記憶を司る部分でもあり、ここを鍛えることで物忘れも防止できます。

毎日が平凡だと思い込んで過ごすと、日常生活で決まったことしかやらなくなります。

そうなってしまうと、前頭葉の老化は止まりません。

■ギャンブルは高度な知的作業

では、脳を最も効率的に鍛えるにはどうすればいいのでしょうか?

それは「文章を書くこと」です。前頭葉を効率的に鍛えるには「アウトプット」が大切なのです。

ちなみに読書などは、その逆のインプットの行為にあたります。

前頭葉は記憶を引き出す力を司る場所であり、記憶を蓄積しても鍛えることはできません。

そのアウトプットに特に有効なのが「日記を書くこと」です。

日記を書くことは、その日の出来事を思い出す行為です。

「今日は誰と会って、どんなことを話したか」「お昼に何を食べて、どう感じたか」「家のなかでどんなことがあったか」などを思い出し、考えながら文章を書き起こすことは前頭葉にとって非常に効果的なトレーニングなのです。

先行きが不安定なとき、想定外な状況に置かれたときに、前頭葉はフル回転します。

ギャンブルはのめり込むと危険ですが、競馬は新聞の情報やパドックの様子、オッズなどから総合的に考えて馬券を購入するので、意外に高度な知的作業であり、前頭葉を鍛えます。

彼らはフィニッシュラインにフロントストレッチを下りるようにダートトラック上の競馬
写真=iStock.com/cmannphoto
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/cmannphoto

ほかにも最新の音楽を聴いてみたり、大ヒットしている新作映画を見に行く、ということも脳の活性化につながります。

■いわゆる「脳トレ」に効果はない

逆に脳のトレーニングになりそうな計算やパズルといった、いわゆる「脳トレ」などは、実はあまり前頭葉を鍛える効果がありません。

認知症を発症した人に計算問題を数多くしてもらうと、確かに計算能力は向上しますが、ほかの能力が上がるわけではないのです。

これはパズルなども同様で、ある程度の脳のトレーニング効果はあっても、脳全体に効果的というわけではなく、一部の機能が鍛えられるだけなのです。

文章を書いて前頭葉を鍛えることは認知機能も向上させます。

そして認知症の発症を遅らせ、車の運転に必要な注意力や判断力も養うことができます。

脳を鍛え始める年齢に早いも遅いもありません。是非とも前頭葉を鍛えるために行動しましょう。

■異性に興味を持ったり、性欲を刺激することも重要

また、恋をしたり異性に興味を持ったり、性欲を刺激することも重要です。

いくつになっても恋や性欲は大切です。高齢の男性がアダルトビデオを見ることを否定する人もいますがそれは大きな間違いです。

和田秀樹『70代、80代を楽しむためにこれだけは知っておこう!』(かや書房)
和田秀樹『70代、80代を楽しむためにこれだけは知っておこう!』(かや書房)

男性ホルモンが増えることは健康な身体を保つことにつながります。

また、「夜のお店」と言われるキャバクラやスナック、パブやバーなど女性が相手をしてくれるお店に行くのも良いことです。ギャンブルと同様にハマり過ぎには注意が必要ですが……。

女性の場合も、アイドルや俳優のファンになって追っかけをしたり、例えば近所のスポーツインストラクターなどにときめいたりする恋衝動は、女性ホルモンが増えて肌つやがよくなり、骨粗しょう症などの加齢による病気予防や改善にもつながります。

この「ときめく」という心の動きがとても重要で、これは異性に対して限ったことではありません。

おいしいものを食べたとき、太陽の光が気持ち良かったとき、家族や友人、仕事仲間と語り合って談笑したり……。日常生活のなかに小さな幸せを感じて「ときめく」ことも、70代~80代を楽しく生きるためには必要なことなのです。

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和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
1960年、大阪市生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。ルネクリニック東京院院長、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。2022年3月発売の『80歳の壁』が2022年トーハン・日販年間総合ベストセラー1位に。メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」

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(精神科医 和田 秀樹)

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