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株価が暴落するかしないかは大した問題じゃない バブルで何を失ってしまったのか

東洋経済オンライン / 2024年3月9日 8時30分

日経平均はついに一時4万円を突破した。だが筆者によれば「株価など、どうでもよい」という。一見、乱暴な話に聞こえるが、どういうことなのだろうか(撮影:梅谷秀司)

日経平均株価が平成バブル時の最高値3万8915円を約34年ぶりに超え、あっという間に一時4万円を突破した。次はどこまで行くか。経済誌だけでなく、新聞、テレビ、ラジオ、一般の週刊誌、ワイドショーまで、株価、バブル、株価、バブル、株価、と同じことばかり聞かれて、本当にうんざりだ。

株価なんてどうでもいいのだ。バブルかどうかなんてどっちでもいいのだ。

いや、本当はどうでもよくないが、バブルであることは全員知っていて、はっきり言うか、言えない立場か、どっちかにすぎないだけなのだが、しかし、それもどうでもいい。

大事なことは何か。われわれは、バブルで何を失ったのか、これから何かを失うのか。そこだ。

そもそもバブルはなぜ悪いのか

そもそも、なぜバブルは悪いのか。バブルに関係なかった人々、関心なかった人々、そして賢明に踊らなかった人々、すべてに迷惑をかけるからだ。社会に迷惑をかけるからだ。そして、社会を壊し、社会が長年正常に戻れなくなるからだ。だから、バブルは相当悪者だ。

バブルが社会を壊すメカニズムはどのようなものか。順を追って説明しよう。

まず第1に、学問の世界でもコンセンサスが確立しているバブルが経済を壊すルートは、銀行システムを毀損し、場合によっては破壊することだ。

株式バブルが、株式市場を壊すことはどうでもよい。それはいわば自業自得というだけでなく、株式市場を再建すれば済むことだからだ。株式市場の話として完結する。余波はない。

一方、銀行システムはそうはいかない。もともと、銀行という仕組みは、脆弱である。取り付け騒ぎが起きうる構造になっているし、1つの銀行の破綻が多数の銀行の破綻を呼び、システムが崩壊する。

銀行は、金融市場内部ではなく、金融のインフラであり、経済のインフラである。したがって、金融市場だけでなく、実体経済をも破綻させる。だから、銀行を巻き込むバブル崩壊は罪深く、重大犯罪なのだ。

例えば、バブル研究家としても有名なプリンストン大学教授のマーカス・ブルネルマイヤー教授によるバブルの分類でも、銀行システムが巻き込まれているかどうかで、金融バブルの性格は大きく異なるとされている。

重要なのは「警察」なのか「消防署」なのか

また、歴史的に、経済学者の間では金融バブルへの対処法として、アメリカの中央銀行であるFEDの見解と、スイスに本部があるBIS(国際決済銀行)の見解が対立していた。

つまり、前者は、バブルは事前には判定が難しく、また事後に(バブル崩壊後に)適切な金融政策を行えば(要は大胆な緩和を続ければ)、被害は広がらずに済む、という考え方をとる。

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