カルビー、ポテトチップス「食感だけで10種」の裏側 北海道で見た、独自開発品種「ぽろしり」も凄かった
東洋経済オンライン / 2023年12月9日 7時50分
たとえば同じ塩味だったとしても、フラットカットの場合はすぐに感じられてすぐに消えるように、V字カットであれば最後まで持続する味つけになっているという。
なるほど、同じフレーバー名やよく似た名称でも、異なる味覚設計があったのだ。たしかに、お腹がすいていると無意識に厚切りを選んでいたり、お酒のつまみには「堅あげポテト」を選んでしまっていたりする。
全体としては、いまは厚切りタイプの人気が高まっているのだそうだ。
新じゃがに対するこだわり
近年は、「新じゃが使用」を前面に打ち出すポテトチップスもよく見かける。新米、新じゃが、新たまねぎ。「新」とついただけで、なぜだかずっとおいしいもののような気になる食材がある。
が、料理ならともかく、ポテトチップスで新じゃがのおいしさを伝えることなど可能なのだろうか。
井上さんはこう解説する。
「カルビーでは秋限定の『ア・ラ・ポテト』が、新じゃがのみを使った商品になります。形は『ギザギザ』と同じ厚切りV字カットなのですが、北海道産の収穫したてのジャガイモを使っており、特別にてんさい糖を加えることで新じゃがらしさを感じられる味つけにしています」
北海道を意識させる3つのフレーバーのうち、一番気になるのは「羅臼昆布しょうゆ味」だ。なぜかこの商品のみ、「ぽろしり限定使用」「日本を愉しむ!」と表示されている。実はこんなところにも、カルビーのこだわりが詰め込まれている。
カルビーのポテトチップス最大の特徴は、自社グループで開発したオリジナル品種も原料に採用している点だ。「ぽろしり」もそのひとつ。
「カルビーでは、ジャガイモを種イモから生産し、さらに品種開発までしています。どちらも独自の取り組みです。このように『ぽろしり限定使用』や『日本を愉しむ!』を打ち出すことで、『ぽろしりって何?』『なぜ日本を?』という興味から、ジャガイモがどこでどのように作られているかにも関心を持っていただけたらと」(井上さん)
ジャガイモの生産調達専門会社カルビーポテト
カルビーグループが使う国産ジャガイモの調達量は約35万2000トン。国内生産量の約18%にも及ぶ。
そのカルビー向けにジャガイモを調達している会社が、カルビーポテトだ。カルビーの原料部門が分離独立してできた歴史がある。そのカルビーポテトの本社と馬鈴薯研究所は、日本一のジャガイモ産地である帯広市にあり、「ぽろしり」もここで開発された。
オリジナル品種「ぽろしり」育成の舞台裏と、原料に対するこだわりをさらに探るために、筆者は北海道に飛んだ。
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