投資からお勉強まで中国人トップが日本に熱視線 中国語で取得できるMBAのため留学した社長も
東洋経済オンライン / 2024年3月7日 7時20分
東京・大久保といえば、中国、韓国からネパール、バングラデシュまでさまざまな国の人が集う多国籍の街だ。その一角にある桜美林大学の新宿キャンパスで、中国人の男女が熱気を帯びた議論を交わしていた。飛び交う言葉はすべて中国語だ。
【画像】中国の経営者に人気がある、先進国へのスタディツアーの告知
教壇に立つ中国福建省出身の女性は、日本でマーケティング会社を起業した経験を語っていた。そのプレゼンが終わると、長時間にわたる質疑応答が始まった。
「日本にはどのようなビジネス機会があると思いますか?」。一番前に座り熱心に耳を傾けていた中国人学生が問う。
すると講師は、中国製の商品のクオリティが上がってきており、日本でもアマゾンや楽天を通じて販売する機会が増えていることを指摘した。これを受けて教室では学生との議論がさらに白熱した。学生といっても、実は中国で企業を経営しているメンバーがほとんど。講師に劣らぬ経験を持っているだけに、やりとりは丁々発止だ。
実は、これは桜美林大学が開設したMBA(経営学修士)コースの授業である。2019年、同大学の新宿キャンパス新設と同時に2年コースで「中国語MBA(正式名は亜州商務管理中文班)」が開講された。授業や研究、そして論文やプレゼンテーションまで全て中国語の使用が前提になっている。
コロナの影響で、本格的に対面授業が始まったのは2023年春だった。現在は、経営者を中心に中国から来たビジネスパーソン10人が在籍する。平均年齢は35歳前後で、皆ほとんど日本語は話せない。
日本は進出先の有力候補の1つ
アメリカで「赴美生子」(妊婦がアメリカに行って出産すること)の産後ケアセンターを、中国で民間漢方薬品関連のビジネスをそれぞれ起業したことのある張永平さん(44)に桜美林大学の中国語MBAを選んだ理由を聞いてみた。「中国ではマクロ経済が大変になっているけど、事業をアジアに横展開することは可能だと経営者の間でよく話すんです」という。日本は進出先の有力候補の1つというわけだ。
張さんは日本にファミリーオフィスのビジネスチャンスがあるのではと興味を持っている。ファミリーオフィスとは、富裕層の一族向けに資産承継、金融や法律、税務、ビジネスまで幅広いサービスを提供するビジネスだ。中国人富裕層の流入をうけ、シンガポールでその設立が相次いでいることが知られる。
河南省でLNGの販売事業や太陽光を含めた新エネ関連事業を展開する経営者の郭暁健さん(51)は若い頃に高等教育を受ける機会がなかった。そのため、体系的に学び学歴をつけられるこのプログラムを選んだのだという。「日本の先進的な経営管理を中国に持って帰りたい」と郭さんは意気込む。
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