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超高額Vision Proでアップルが実は考えている事 アップルの「次の屋台骨」になる可能性は?

東洋経済オンライン / 2024年3月26日 7時30分

手を持ち上げて空中のものを触る操作は直感的だ。一方で、手をいちいち上げるのは面倒で、手も疲れてくる。コントローラーを使うならなおさらだ。だがVision Proはちょっと違う。手を上に持ち上げる必要はない。操作したい場所に「視線を合わせる」動作をして、親指と人差し指を打ち合わせる「タップ」動作をすればいい。

文章だとイメージが湧きにくいが、要は視線をマウスカーソルの移動、タップをマウスのクリックだと考えればわかりやすいだろうか。若干の慣れが必要だが、手を無駄に持ち上げる必要はないし、素早く使える。

空間に浮かんでいるものを目線で見て、指でつまんで移動する……という操作は、まさに、Vision Proがもたらした新しい体験と言える。

Vision Proが優れた製品なのは疑いない。だが、いきなり何千万台も売れることはないし、すぐにアップルの収益源になることも考えられない。理由はシンプルだ。3499ドルから、という価格設定であるが故に、大量に売れるとは考えづらいためである。

Vision Proがこのような価格帯で売られることになった理由は、品質と大きく関わっている。

前出のように、Vision Proは表示品質が高い。理由は、ディスプレイ・カメラ・プロセッサーといった主要パーツに、ハイエンドなものを採用しているためだ。特にディスプレイとプロセッサーは、XR機器として見て破格な品質である。

高価ゆえに利益貢献は先、あえて未来を見せる

ディスプレイは、片目4K弱の解像度をもつソニー製のマイクロ有機ELディスプレイを2つ使っており、プロセッサーは、MacやiPadの上位機種に使われている「M2」。さらに、位置認識などの処理を専用にこなすものとして、「R1」という専用プロセッサーも搭載している。これらの原価だけで1500ドルを超えていると予想されており、他社製品よりもかなりコストがかかっている。3499ドルという売価ですら、利益はほとんど出ていないだろう。

内部構造も複雑だ。他の機器では省かれることも多い「視線認識」も、ひときわ高精度なものを搭載している。目と目の間隔(IPD、瞳孔間距離)の調整も自動。他社なら手動で行い、コストをかけない部分だ。

価格と同様にプライオリティを下げられたのが「重量」だ。Vision Proに対する批判の多くは「つけ心地」の部分に集中している。本体重量が約600グラムあり、その上バッテリーも外付け(写真)であるため、取り回しも良くない。それを頭につけるため、フィッティングは極めて重要。ズレが大きく、バンドを強く締め付けることになると顔にも負担が大きくなり、不快感が増す。

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