1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

超高額Vision Proでアップルが実は考えている事 アップルの「次の屋台骨」になる可能性は?

東洋経済オンライン / 2024年3月26日 7時30分

コストも重量も、現在の技術では解決が難しい課題。だから他社は一定の「割り切り」のもと性能と価格を落とした製品を作るやり方を選んでいる。逆に言えばアップルは、普及や短期的な収益貢献よりも、品質の高さを優先した……ということなのだ。

アップルはなぜ品質を最優先にしたのか? それは、彼らがいう「空間コンピューティング」という世界を、最初からできるだけ、理想に近い姿で見せたかったからだろう。

コンシューマ市場向けのXR機器は、現状での市場特性がゲーム機に近いため、多くの場合、価格を抑えて販売されている。数が増えてからソフトウエアやサービスの収益性が高まっていく、という構造だからだ。

ただその結果として、画像の解像度は低めで、性能もギリギリ。MRによる画像にも歪みが出やすく、「自然な体験」にはなっていない。

しかしアップルは、Vision Proでゲーム機のようなビジネス構造を目指さない。機器を使うことで便利で魅力ある体験ができる、という点を狙う。別の言い方をすれば、アップルは、現状理想に近い体験を提示することで、「空間コンピューティング」に対してマイナスの要素を取り除き、先を見せることが重要と判断している、ということになる。

「ポストスマホ」ではなく「ポストPC」

アップルが見せようとしている「空間コンピューティング」とはどのようなものなのだろうか?

筆者は2月に購入以来、ほぼ毎日、なんらかの形でVision Proを使っている。そこで感じるのは、アップルがVision Proで短期的に置き換えようとしているのは「スマホではなくPCだ」という点だ。

スマートグラスに類する機器は、一般的に「ポストスマートフォンだ」と言われる。どこでも持ち歩いて使われるスマホの代わりに、メガネ型のデバイスで情報を表示して使う……という発想だ。

ただ現実問題として、これは非常にハードルが高い。屋外は明るい場所と暗い場所の差も激しく、熱や寒さ、埃などの厳しい条件もある。その中で安全性を確保し、さらに600グラムのヘッドセットをメガネレベルの軽さにするのには、まだ相当に時間がかかる。アップルも当然そのことはわかっている。だから、Vision Proがストレートに「ポストiPhone」である、と考えてはいないだろう。

だが、これが「ポストPC」「ポストタブレット」だったらどうだろうか?

現在のディスプレイが持つ「四角い画面の中で作業する」という制約を超え、主に屋内で、自分がいる空間を生かし、作業をしたりコンテンツを楽しんだりするデバイスは、十分に可能性がある(写真4)。実際、Vision Proではそういう働き方・楽しみ方がすでにできる。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください