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MVNOが成長するのに“足りていないこと” 「格安スマホ」激動の10年を振り返りながら議論

ITmedia Mobile / 2024年4月19日 6時5分

 長山氏は当時既に独立してOCN モバイル ONEからは離れていたが、「MVNO視点で見たとき、ahamoよりもUQ mobileとY!mobileの値下げが衝撃的だった」と当時の危機感を語った。

 「すみ分けができているサブブランドまで値下げする必要はないと私自身、発信していた。ところが、今までMVNOが頑張って作ってきた独自性を縮めるかのごとく、サブブランドの料金が下がってしまった」(長山氏)

 UQ mobileとY!mobileが全国のキャリアショップで販売されるようになったことも脅威に感じたという。

 2021年には、KDDIとソフトバンクもahamoに歩調を合わせるかのごとく、povoとLINEMOを発表。 MNOが3ブランド体制になった。楽天モバイルは料金を改定し、1GBまで0円の「Rakuten UN-LIMIT VI」でユーザーを呼び込んだ。MNOの料金値下げでMVNOには厳しい状況となり成長にブレーキがかかったが、その一方で接続料の大幅な値下げがあったことで、IIJmioやmineoをはじめMVNOもさらに安価な新プランを発表した。

 井原氏によると、この年、イオンモバイルは契約者数が純減したという。ただ、「接続料の改定で純減しながらも利益的には少し上がった。投資もできるようになり、結果的にはすごくよかった」と振り返る。

●2022年に楽天モバイルが0円廃止、2023年にドコモがレゾナントを吸収 規制緩和も

 2022年は楽天モバイルが5月に0円廃止を発表し、大きな波紋を呼んだ。その影響で楽天ユーザーが流出し、MVNOにとって追い風になった部分もあった。7月はKDDIが大規模通信障害を起こし、それに端を発した非常時における事業者間ローミングの議論が進む。サブ回線としてのMVNO利用も注目された。

 ただし、西田氏は「サブ回線の導入に至った人は必ずしも多くない」と指摘。また、サブ回線を選ぶ際に、今使っているキャリアとは異なるネットワークを使っているMVNOを選ぶ高い知見が必要なことを問題視する。一般ユーザーは「実際には0円プランを持っているサブブランドを選ぶ人が多かったのでは」と見る一方で、IoT向けでは1つのネットワークがダウンしたら、別のネットワークに切り替える包括型サービスを選ぶ企業が出てきており、「産業活動の面で大きい」と語った。

 2023年は、ドコモがNTTレゾナントを吸収合併。OCNモバイル ONEが新規受付を停止した代わりに「irumo」が誕生した。楽天モバイルは、KDDIローミングのエリアでも高速通信が無制限で使える「Rakuten最強プラン」を発表した。MNPワンストップ方式が始まり、12月27日に事業法のガイドラインが改正。端末値引きの上限が最大4万4000円までに緩和される一方、いわゆる「白ロム割」が規制対象に追加された。また、指定対象事業者の見直しも行われ、それまで対象だったIIJとオプテージが規制対象から外れた。

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