MVNOが成長するのに“足りていないこと” 「格安スマホ」激動の10年を振り返りながら議論
ITmedia Mobile / 2024年4月19日 6時5分
OCNモバイル ONEの新規受付停止について、長山氏は「すごく寂しかった。irumoのスペックを見て、もうOCNの面影はないと感じた」と振り返った。
「中身を見ると、OCN モバイル ONEのことを考えたわけではないのは明らか。あくまでもドコモの本ブランドからUQ mobile、Y!mobileへの流出を止めたいがために、対抗する料金プランを前々から考えていて、そのタイミングがたまたまNTTコミュニケーションズの子会社化と重なったとしか見えない。OCN モバイル ONEから移行するというよりは、ドコモで料金が高かった人がirumoに変えている印象が強い」(長山氏)
●MVNOがさらに成長するためのヒント 「プロダクトインで考える」「PoCが全然足りていない」
10年を振り返った後は、今後、MVNOが成長するため、あるいはMNOとすみ分けするための新しい競争軸を生み出すために何が必要かを議論した。
MM総研の「独自サービス型SIM」の市場規模調査によると、MVNOサービスは2014年から右肩上がりで2020年までは成長してきたが、政府の値下げ要求による MMOの格安ブランドの浸透などによって2021年は大きく数字を落としている。ただ、接続料の値下げが進んだ影響で、2021年以降、契約数は微増を続けている。少しずつ回復基調にはあるが、2020年の1536万契約を超えるような成長を今後、見込めるだろうか。
佐々木氏は、「MVNOが格安スマホとしてレビューしてからたった10年しかたっていない。今の段階で、あまりネガティブに評価をする必要は全然ない」と語った。
「今後、10年、15年後に大きなパラダイムシフトが起こる可能性がある。0円ケータイ、1円スマホといったものも、過去のものになっていくだろう。MVNOは確実に今後も伸びていくと信じているし、それを可能にすべく、総務省に対する働きかけを今後も継続していかなくてはいけない。創意工夫がMVNO業界をさらに伸ばしていくことを疑っていない」(佐々木氏)
MVNOだからこしできるサービス、MNOとすみ分けするための競争軸として井原氏は「プロダクトアウトではなくて、プロダクトインが大手との差別化になる」との考えを述べた。
「そもそも乗り換えない方が75%ぐらいいらっしゃる。乗り換えられない課題を解決することもそうだが、顧客の課題、社会の課題がまだまだある。課題解決に軸を置いてサービス設計をすることは、MVNOの1つの在り方だと思っているし、われわれはまさにそこをやるべき」(井原氏)
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