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褒めれば褒めるほど相手の気分を害してしまう…絶対に使ってはいけない「3文字」の褒め言葉

プレジデントオンライン / 2023年9月2日 7時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Ponomariova_Maria

人を褒めるときは、どこに気をつけるべきか。人材育成コンサルタントの吉田幸弘さんは「『なのに』という3文字が入っていると、決めつけ褒めになって、相手の気分を害してしまう恐れがある。人前で褒めるのが苦手な人は、相手がいないところで褒める『陰褒め』を使うといい」という――。

※本稿は、吉田幸弘『部下も上司も動かす 武器としての伝え方』(自由国民社)の一部を再編集したものです。

■信頼をなくす凶器にも…絶対にやってはいけない「褒め方」

若手のやる気のある部下の多くは、成長したいと思っています。

だからポジティブなフィードバックのみでは満足しない、むしろネガティブなことを言われないことがマイナスになる人もいます。

ただ、問題は言い方なのです。

また、部下の立場であっても上司に対して時に反対意見を伝える必要があり、それを求められています。

ただし、ネガティブなフィードバックが必要だからといって、ネガティブばかりだと辛くなってきます。

だから使い分けが必要になってきます。

褒めると叱るとのバランスが大切になってきます。

ここではまずはやってはいけない褒め方から紹介していきます。

実は「褒める」ことはいいことづくめな気がしますが、やり方を間違ってしまうと、相手を傷つけたり信頼をなくす凶器にもなる可能性があります。

■褒めたつもりが気分を害してしまう言い方

①決めつけ褒め

「70代なのにSNS詳しいですね」
「20代(若い)なのに挨拶がしっかりしてるね」
「○○人なのに漢字よく知っているね」
「女性なのに重い荷物を持ってすごいね」

このように年齢・国籍・性別に関する発言は褒めたつもりが、相手の気分を害する可能性があります。

②意外性を褒める

「やればできるじゃん」
「意外に深いところまで考えているんだね」
「さっきの資料、細かく分析されていてビックリしたよ」

このような言い方は褒めたつもりが、裏ではダメだと思っていたと明示しているようなものなので、良くありません。

③上から目線で褒める

「見直したよ」
「感心しました」
「部長、さすがですね」

このような上から目線の言葉には注意が必要です。

特に部下から上司にこのように言ってしまうと、「何を偉そうに」と逆効果になります。

最近では年下上司と年上部下という関係の構図も増えており、部下に対してもこのような言い方はしないほうがいいでしょう。

また、上司や先輩を褒める時は、「企画出すのが得意ですよね」ではなく、「どうしたら○○さんのように企画をどんどん出せるんですか? 何か普段から意識されていることってありますか?」というように質問するといいでしょう。

「教えてください」という言葉は「貢献承認」といって、相手の承認欲求も満たします。

何より「下から目線」なので、相手も嫌に感じないでしょう。

スポーツ界の名選手の多くが「自分からは教えないけど、聞かれたら教えるよ」というようなことを言っていたのを耳にします。教えを請われて嫌な人はいないという証明でもありますね。

コーチの話に耳を傾ける高校生
写真=iStock.com/Ridofranz
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Ridofranz

■一見良さそうな「性格を褒める」の盲点

④褒める理由をつけていない

「何でも褒める人」は逆におだてているのではないかと思われます。

理由がない褒め方はおだてになります。

上司「伊藤さん、頑張っているね」
伊藤「はい。(何を言ってるのだ……またおだてか)」

営業「最近、御社すごいですね」
相手「ありがとうございます。(何がすごいのかな……)」

⑤能力や性格を褒める

一見良さそうに見えるのが相手の能力を褒めることです。

たとえば部下の杉村さんに「杉村さんは優秀だからね」と伝えたとします。褒められた側は喜ぶかもしれません。

しかし、仮に杉村さんが何かミスをしてしまった際、「せっかく能力を認められているのに、がっかりされるかな」とミスの報告を隠蔽(いんぺい)してしまうかもしれません。

そもそも「仕事ができる」「できない」という区分が明確ではありませんし、これは決めつけになってしまいます。

漠然と一括りにするのではなく、「プレゼンの資料作成が得意だ」「アイデアを出すのが得意だ」など、具体的に細分化していきましょう。

また、性格を褒めるのは一見良さそうに見えますが、本人からすると指摘された内容が嬉しいとは限りません。

上司「○○さんは優しいね」
部下「はい。(言いにくいことを言えないと指摘されているのかもしれない)」

部下「○○課長は話しやすいです」
上司「そうか。(オレ、バカにされているのかな)」

このように逆の解釈をする人もいるかもしれません。

能力や性格は人によって恣意性も入るので基準が曖昧です。

同じような能力なのにAさんは褒めるけどBさんは褒めないといった状態になり、不信感を持たれるかもしれません。

仕事においては行動やプロセスを褒めるようにしていきましょう。

行動にフォーカスすれば、他の人も納得するし、見習おうと考えるでしょう。

「さっきの会議での提案書、非常に良かったよ」
「今月はアイデアを5件も出してくれてありがとう。チームの活性化につながるよ」
「○○先輩、先ほどは営業のクロージングに関してのアドバイス、ありがとうございました」

■後天的な能力、行動や取り組みにフォーカス

①後天的な能力を褒める

外見を褒めることはハラスメントに抵触する可能性が高いものです。

以前よく飛び交っていた言葉に「俳優の○○さんに似ている」という褒め言葉がありました。

褒めているつもりが相手の気分を害する可能性もあるのです。

本人は好きではないかもしれませんから。

また「外見を褒める=中身を見てもらっていない」と感じる人も多いものです。先天的な能力ではなく後天的な能力、行動や取り組みにフォーカスするようにしましょう。

②2人称ではなく1人称で褒める

「伊藤さんは資料作成の色使いが上手だね」
「山岡先輩の説明は非常にわかりやすいです」

このように相手を主語にする褒め方は、相手からすると「上から目線」に感じることも少なくありません。

ここでは私はと1人称を主語にした褒め方に換えてみましょう。

「(私は)伊藤さんの作る資料ってすごく色使いがいいなと思ってます」
「(私は)山岡先輩の説明はわかりやすくて、勉強になります」

同じ内容を伝えているのに、もしあなたが言われた場合、後者の言葉なら上から目線に感じないのではないでしょうか。

「思っています」「勉強になります」の主語はあくまでも「私」です。

主語をシフトするだけでこのように大きく相手の感じ方が変わるのです。

また、このように「私」を主語にするパターンは、仮に相手が「そんなことないですよ」「何言ってるんだよ」と謙遜してきた時も切り返しやすいのです。

「いえ、本当にそう思ったんですよ」「私はそう感じました」というように。

■愛想もなく苦手な人を「陰褒め」することの驚くべき効果

ただ2人称の褒め方は、相手からするとわざとらしく感じると思う人もいて、褒め言葉を伝えるのが苦手な人にとっては難易度が高いものです。

そこで、推奨しているのが第三者を巻き込んだ褒め方です。いわゆる「陰褒め」です。

ある時参加したセミナーで「いない人のことを褒める」と良いと聞き、早速実践してみました。

私が営業リーダーをしていた頃、西川さん(仮名)という在庫管理表を毎日メールで送ってくる別の部署のリーダーがいました。

西川さんは転職して数カ月、仕事はきっちりされているのですが、どうにも愛想がなく、挨拶も笑顔もない状態で部下からの評判が最悪でした。

このままでは西川さんの部署と私の営業チームが対立をしかねない状態です。

セミナーに行く前はお恥ずかしながら私も「西川さんって何か感じ悪いんだよな」などと言ってしまったことがありました。

そこで心機一転、セミナーで学んだ内容を実践してみることにしました。

「先日得意先に訪問する直前に、西川さんからの在庫管理表がちょうど送られてきて助かったんだ。あれを見なかったらそのまま在庫切れの商品を紹介するところだったよ。おかげで違う商品を紹介して難を逃れられたよ」と、部下の前で言いました。

吉田幸弘『部下も上司も動かす 武器としての伝え方』(自由国民社)
吉田幸弘『部下も上司も動かす 武器としての伝え方』(自由国民社)

その後も西川さんの在庫表や他の連絡メールが助かったことを社内の内勤チームもいる雑談部屋で何度か話すようになりました。

すると3週間くらい経ってビックリしたことが起きました。

何と朝出社する際、ビルの1階でエレベーターを待っている際、西川さんが「吉田さん、おはようございます」と挨拶をしてくるではありませんか。

その後は会話も増えてきて、在庫の少ない商品の確保のお願いを聞いてもらったり、かなり融通を利かせてもらえるような良好な人間関係になっていきました。

その場にいない第三者を褒める。ぜひ試してみてください。相手の面前で褒めるのが苦手という人もこの方法ならハードルが低く感じるかと思います。

③皆の前で褒めない(1対1で褒める)

「叱る時は1対1、褒める時は全員の前で」とかつては言われていましたが、今は褒める時も1対1が好ましいです。

なぜなら、自分ばかり褒められて媚を売っている・調子に乗っているというように思われないかと気にする人も増えてきてるからです。

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吉田 幸弘(よしだ・ゆきひろ)
人材育成コンサルタント・コミュニケーションデザイナー
1970年生まれ。大学卒業後、大手旅行会社、有名学校法人を経て外資系企業へ転職。そこで周囲のメンバーとうまくコミュニケーションが取れず、降格人事を経験する。その後、異動先で出会った上司より「伝え方」の大切さを教わり、「ポイントを絞ってわかりやすく伝える方法」を駆使して、劇的に営業成績を改善。社外でも営業コンサルタント・人材育成コンサルタント・コーチとして活動し、2011年1月より独立。現在はさまざまな業種のビジネスパーソン向けに、人材育成、チームビルディング、生産性向上、コミュニケーション術の方法を中心としたコンサルティング活動及び1on1コーチング、講演、研修等を実施している。累計の受講者数は3万人を超えている。

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(人材育成コンサルタント・コミュニケーションデザイナー 吉田 幸弘)

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